「ソウルフード」カテゴリーアーカイブ

グルメは人間の本能的行動

本来、グルメとは料理の味や知識について詳しいことや、それらのことを詳しく知っている人物、それらを追求する美食家を差す言葉です。

大食いだとか、食を楽しむためだけに使われる言葉がグルマンであり、グルメと共有されることはありませんが、そこは外来語、日本では食に関するアピールはすべてグルメであり、グルマンが使われることはありません。

もっとも、食に精通していて格式を求める時はきちんと日本語で「食通」と表現されますが。

グルメは時に社会的倫理からかけ離れた食の追求を行います。 続きを読む グルメは人間の本能的行動

食材を工夫してきた人類の歴史

国民の健康状態を守るのは政治家の大切な役目で、食に関する法案制定は今でも国家を左右する重要な政策です。

その意味において日本国民のほとんどがなんらかの形であっても飽食の時代を迎えているということは日本の政治家が優秀だったという証になります。

食品添加物がどうした、とか、無農薬野菜があーだ、とか、その手の話題は食べ物に困らない状態だから言えること。

奪い合うように食物を食べる、あるいは奪うものすらない国でそんなことを言っている暇はありませんから。 続きを読む 食材を工夫してきた人類の歴史

奴隷制度を生き抜くために生まれた料理

人は皆、平等である、なんて思想が一般化したのも人類の歴史を見れば、つい最近のこと。

なにしろ富裕層が貧困層の他人種を買う、という奴隷制度が公然と認められ、それが近代国家の形成する19世紀まで続いていたのですから。

アメリカ唯一の内戦であるThe Civil War、南北戦争は奴隷制度の廃止がひとつの目的となって起こった戦争です。

映画「風と共に去りぬ」はこの南北戦争時代を背景にしており、アカデミー賞9部門を受賞した名作との誉れ高き作品ですが、その一方で黒人団体からは奴隷制度を正当化して白人農園主を美化していると強い抗議を受けています。 続きを読む 奴隷制度を生き抜くために生まれた料理

余り物を食材にする発想

19世紀前半、アメリカ南部の農園で強制労働させられていた黒人奴隷はどのような食事をしていたのでしょうか?

まず農園での労働だけを担っていた時代。

富裕層は食物の一部しか調理せず、一物全体を食べるということをしません。

野菜なら葉の部分を捨て、食用動物なら内蔵や皮を捨てます。

余談ですが、世界中が捕鯨をしていた時代、一物全体をすべて利用していたのは日本人と一部の北極圏に住む先住民族だけで、ヨーロッパ系やアメリカの捕鯨はクジラから油だけを採取して、肉類その他一切を海に廃棄していました。 続きを読む 余り物を食材にする発想

ソウルフードは栄養満点

黒人奴隷は肌の色で働く場所を決められた歴史があります。

純血で色の濃い黒人は野外の労働を、混血によって色が薄くなった黒人は持ち主の家屋に入ってハウスキーピングやベビーシッター、それから調理をするようになりました。

ここでも富裕層の余った食材がソウルフードを発展させます。

黒人奴隷が調理するようになると、それら余った食材を日々の食生活に取り入れるようになりました。

残った果物はパイになり、食べ残して固くなったパンはブレッドプディングに、付け合せのサツマイモが茹でたジャガイモと一緒に食べられるようになり、骨のついた鶏肉は保存しておいた豚や牛の油で揚げてフライドチキンにしたのです。 続きを読む ソウルフードは栄養満点

フライドチキンの原点

主にアメリカ南部の奴隷制度から生まれたソウルフードは奴隷制度廃止後も発展を続け、やがてアメリカ南部の黒人伝統料理としての地位を獲得しました。

ソウルフードの精神を活かし、調理方法を洗練したソウルフード専門の店はアメリカ南部を中心に多く点在しています。

このソウルフード、日本人にも馴染み深い料理があります。

それはフライドチキン。

鶏肉の場合、脂肪分の少ない胸肉やササミをホワイトミート、手羽先やモモ肉など脂肪分の多い部分をダークミートと呼びます。 続きを読む フライドチキンの原点

ソウルフードのモツ煮込み料理

アメリカ南部の伝統的な料理として発展したソウルフードのなかには日本人にとってポピュラーな料理もありますが、本格的になるほどドメスティックな味わいになってきます。

たとえばグリーンズと呼ばれる野菜の煮込み料理。

これはカブの葉や芥子菜が使われますが、日本の野菜と違って葉がしっかりとしています。

その野菜と一緒にハムホックと呼ばれる豚の膝回り部分(ハムを加工する時にここが余ります)やファットバック(豚肉の背中で脂肪分が多い肉の塩漬け。ベーコンの脂部分が固まったようなところ)を一緒に入れて煮込みます。 続きを読む ソウルフードのモツ煮込み料理

ソウルフードのボーダーライン

黒人の伝統的な料理、ソウルフードという言葉が日本へ輸入されると地方から「おらが村のソウルフード!」なんてキャッチフレーズが聞こえてきます。

新しい言葉を巧みに、というか都合よく解釈して応用してしまい、また、それの曖昧な意味が通じてしまうところが日本人のいいところでもありますね。

ソウルフードと郷土料理には部分的に被っているところもありますが、同意語ではありません。

郷土料理のなかには貧困のなかから生まれてきた栄養食もありますが、地産地消の豪華な料理もありますし、町おこしのために地元民が共同して作った新しい料理もあります。 続きを読む ソウルフードのボーダーライン

ご当地グルメのボーダーライン

宇都宮餃子はソウルフードか?

残念ながらソウルフードではありません。

しかし立派なB級グルメです。

フランス後の美食追求を意味するグルメと、けっして高価、高品質ではないけれど利用価値が高いものを意味する日本語が組み合わさった、とても複雑な言葉ですが、B級グルメ、と聞くだけでなんとなく(ここ重要です)カテゴライズできてしまうのが日本人の特徴です。

このB級グルメと同意語なのがご当地グルメですね。 続きを読む ご当地グルメのボーダーライン

羊毛政策から生まれたジンギスカン料理

日本各地には、ソウルフードの資格を十分に満たす料理がたくさんあります。

たとえば北海道や東北地方のジンギスカン料理。

たっぷりの野菜と羊肉をスリットが入って盛り上がった鉄板で焼いて食べる料理ですね。

これ、発祥は東京とも北海道とも言われ、同時多発的に山形の蔵王温泉や岩手の遠野市でも誕生しています。

ジンギスカンという名前の由来もモンゴルを統一したジンギスカン(チンギス・ハーン)が兵士の食事として考案したことが元になっているとか、源義経が北海道を経由してジンギスカンになった時、北海道でこの料理方法を思いついたから、とか、定かではありません。 続きを読む 羊毛政策から生まれたジンギスカン料理

北海道ではジンギスカンが日常食

北海道で「ジンパ」といえばジンギスカンパーティのことで、「マツジン」といえば北海道に広く流通している松尾ジンギスカンのこと。

アウトドアでもインドアでも、どこでも簡単にジンギスカン料理ができるように、北海道のコンビニでは簡易ジンギスカン鍋が150円で販売され、花見があればジンパ、友達が集まればジンパ、とりあえず何か食べるといえばジンパ、というほど北海道ではジンギスカン料理が定着しています。

小・中学校の炊事遠足でもカレーや豚汁と並んでジンギスカン料理が作られ、一家に一台は本格的な鋳物製の重いジンギスカン鍋があるといいます。

観光客が北海道に行って生ビール工場を見学する時も、必ず食べるのはジンギスカン料理。 続きを読む 北海道ではジンギスカンが日常食

大阪のたこ焼きとお好み焼き

日本でもっとも有名なソウルフードといえば大阪のたこ焼きとお好み焼きに尽きます。

歴史的に見れば、どちらも大阪が発祥というわけではありません。

たこ焼きのルーツは明石市の玉子焼で、従来の玉子焼きと区別するために明石焼きと呼ばれている郷土料理から派生しています。

この明石焼き、鶏卵と出汁、浮き粉や沈粉(じんこ)、小麦粉でふっくらと小型の球形に焼くことが特徴で、具には明石産のタコ切り身が入っており、出汁につけて食します。 続きを読む 大阪のたこ焼きとお好み焼き