簡単に引っ越しができた江戸庶民

江戸時代のモノを持たない生活者はモノやお金だけでなく、住まいまでも執着の対象外でした。

庶民に取って住まいとは寝食をするただの場所であり、賃貸が当たり前で所有するという概念が存在していなかったといいます。

モノもないし、生活必需品もレンタルで賄うことができたため、本当に自分の所有物といったら衣服と小物ぐらいしかないので、いつでも引っ越しができました。

富獄三十六景で知られる葛飾北斎は90歳近い生涯で(正確な年齢は不詳で89歳といわれているのが一般的)93回引っ越しをしています。

北斎の引っ越し記録は別格ですが、江戸時代、庶民の引っ越しはけっして珍しいことではなく頻繁に行われており、明治時代初期の浮世絵師である鏑木清方は「紫陽花舎随筆」のなかで自分の母を例に出し、自分も30回以上は引っ越ししていると回想しています。

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そういえば十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」でも主人公の弥次郎兵衛と喜多八はお伊勢参りに行く時、それまでの長屋を引き払っての旅路でした。

モノを持たない生活をすると身軽になります。

江戸時代、武士は宮仕えとなって自由に引っ越しをすることはできませんでした。

それに比べ、庶民はずっと自由な生活を送っていたことが、江戸っ子の引っ越し好きから伺うことができます。

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